2014年3月、農林水産省主催の「日本全国郷土料理シンポジウム」が東京家政学院大学で開催され、参加しました。
シンポジウムは東京家政大学名誉教授で、「和食」文化の保護・継承国民会議副会長の江原絢子先生の「郷土食」普及への提言と題した基調講演から始まり、9県の代表的な郷土料理の試食、分科会として「家庭・地域コミュニティの現場から」、「学校教育(食育・給食)の現場から」、「地産地消・地域活性化の現場から」の事例発表、最後に「郷土食」その課題と可能性と題したパネルディスカッションが行われました。
なかでも9県の代表的な郷土料理の試食は、とても楽しく、おいしい体験でした。
今回、試食に供された郷土料理は、以下の9種類です。
- 豚丼(北海道)
- せんべい汁(青森県)
- 太巻き寿司(千葉県)
- 治部煮(石川県)
- 味噌煮込みうどん(愛知県)
- 柿の葉すし(奈良県)
- なすのたたき(高知県)
- だぶ(福岡県)
- ゴーヤーチャンプル(沖縄県)
印象に残った「郷土料理」のレシピを紹介します。
(日本全国郷土料理SJチラシより)
●せんべい汁(青森県)
青森県南では米の代用として粉食文化があり、冬の保存食として食されるように。
<材料>4人分
大根1/3本、人参1/2本、ごぼう1/2本、長ねぎ1本、白菜1/6個、きのこ1パック、さば水煮缶180g・2缶、水1200cc、塩適量、おつゆせんべい8枚
<作り方>
- 大根、人参をいちょう切り、ごぼうはささがき、長ねぎ、白菜、きのこは
一口大に切る。
- 長ねぎ以外の野菜とサバの水煮を鍋に入れ、水を加える。
塩で味付けする。
- 沸騰したらアクを取り、長ねぎ、おつゆせんべいを4つ割りにして鍋に入れる。
中火で3〜4分煮て、おつゆせんべいが軟らかくなったら完成。
●なすのたたき(高知県)
なすの生産上位であり「たたき料理」になじみがある高知県で一般的に食される料理。
<材料>2人分
なす4本、アジ又はカツオ(正味)200g、みょうが2個、玉ねぎ1/8個、万能ねぎ20g、すだち(くし形)2個、ポン酢適量、塩少々
<作り方>
- アジ又はカツオを焼き、皮と骨があれば取り除き、身をほぐす。
- なすに塩をもみつける。しんが残る程度に茹で、冷水で冷ます。
- なすの水分を拭き取る。
ヘタを取り、縦に2等分しそれぞれを斜めに4等分に切り、器に盛る。
- 3の上に1をのせ、みょうがの千切り、スライスした玉ねぎ、刻んだ
万能ねぎをのせ、すだちを添える。ポン酢をかけて完成。
●だぶ(福岡県)
博多の縁起料理として初節句や結婚式などで供される。「だぶ」とは汁気の多さから。
<材料>6人分
里芋4〜5個、ごぼう1本、干し椎茸4〜5枚、こんにゃく1/2枚、油揚げ1/2枚、人参1/2本、れんこん中1節、麩適量、菜の花適量、調味料(薄口しょうゆ40cc、塩大さじ1、砂糖・酒少々)、本葛40〜50g、水適量、だし汁(昆布・かつお節7カップ)
<作り方>
- 干し椎茸を戻し、ほかの材料もすべて小さく切る。
- だし汁と干し椎茸の戻し汁を合わせ、麩以外の材料を入れて加熱しアクを取る。
- 調味料で味を調え、麩を加える。
- 本葛を少量の水で溶き、加熱中の鍋に流し入れ、手早く混ぜる。
- 別に茹でた菜の花など季節の青みを添え完成。
シンポジウムのパネルディスカッションでは「東京の郷土料理があまりないので、子どもたちに紹介する上でどのようにしたらよいか?」と質問をしました。
「なかなか沢山はないが、その土地の歴史など時代背景や環境についてを詳しく話すことがよいのでは」と意見を頂きました。
今後は、未来に向けた「新しい郷土料理」を作っていくことも必要だと感じました。