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楽しい!おいしい!おもしろい!食育のお話

第1回: 伝統のおいしさに触れる

2013年12月に「和食;日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。 このニュースは、世界中で「和食」が注目されることにもなりますが、私たち日本人自身が日本の食文化を見直す絶好の機会となっていくと思います。 食育にとっては、とても明るいニュースです。

和食(日本の食文化)には、
  1. 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
    • 四季があり、地理的にも多様で、新鮮な山や海の食材が使用可能で、その持ち味を引き出し、引き立てる調理法や調味料も豊富
  2. 栄養バランスに優れた健康的な食生活
    • 一汁三菜(例)といったバランスのとれた食事で、健康に寄与
  3. 自然の美しさや季節の移ろいの表現
    • 料理に葉や花などをあしらったり、美しい盛り付けや季節に合った食器を使用
  4. 年中行事との密接な関わり
    • 正月をはじめとし、年中行事と密接にかかわった食事の時間を共にすることで、家族や地域のきずなを強化
などの要素があり、無形文化遺産として持続・継続していくことが求められています。

その中で、年中行事との密接な関わりとして、2014年1月に行われた2つの小学校での食文化の取り組みと我が家のおせちで人気のあった料理をご紹介します。

杉並区のある小学校の4年生のクラスでは、冬休みの宿題として、自分が食べたお雑煮の内容と写真と感想を持ち寄り、栄養士と担任の先生がお雑煮マップに貼り、児童が発表をしました。 発表のあったお雑煮は、青森、東京、奈良、鹿児島などで、それぞれの地域の食材が活かされ、日本の多種多彩な食文化を象徴していてるものでした。

お雑煮 汁が醤油味であったり、味噌味であったり、餅が角餅であったり丸餅であったり、それを焼くか、湯通しするかしないかなど様々で、具も地方によって魚介が入ったり、山菜が入ったり、具沢山だったり、シンプルだったりとおもしろい違いがあり、児童は自分以外のお雑煮に「自分の家のお雑煮が一番おいしいけれど、他のお雑煮もぜひ食べたい。」と興味津々でした。
特に変わったところでは、鹿児島県の海に近い地域で醤油仕立てですが「くまえび」というエビを出汁と具に使った雑煮、奈良県のある地域では白みそ仕立ての雑煮に黄粉を添え、餅をつけて食べるものがありました。

児童は、盛り付けや色合いの違いとともに、地域や地理的な違いなどにも着目し、食文化として残すためには、「教わること、食べること、伝えること」が大切であることに結論づけていました。 また、小金井市のある小学校では、「〜守ろう、伝えよう〜故郷のお雑煮、我が家のお雑煮、日本の食文化」と題してお雑煮アンケートを取り、餅の形や餅の状態、汁の状態、餅以外の具、お雑煮エピソードなどの調査結果をまとめ、栄養教諭がお雑煮マップを作り掲示し、アンケート結果を給食だよりに掲載、保護者に配布されました。
お雑煮エピソードには、沢山の保護者の方からのコメントが寄せられており、お雑煮に込められた懐かしい思い出や熱い思い、お雑煮について家族で語り合ったことなど素晴らしい内容でした。

現在、年中行事や行事食が家庭の中から姿を消しつつあり、おせちも「作るもの」から「買うもの」という現状がありますが、お雑煮に関しては「まだまだ健在」ととてもうれしい気持ちになりました。 個人的には、2013年の12月にとあるイベントで、生まれて初めて念願の香川県の「餡餅入りの雑煮」を食べたことが忘れられません。 ちなみに我が家の雑煮は、醤油仕立て焼いた角餅が入り、青菜(小松菜かほうれん草)と鶏肉、かまぼこ入りですが、実家では、醤油仕立てで焼かない角餅入りで、ほうれん草と長ねぎ、鶏肉が入ったものでした。

さて、我が家のおせちですが、今年人気だった3品ご紹介します。

我が家のおせち

1位 紅白なます

定番ですが沢山作ってもすぐ売り切れます。(写真上)

2位 のし鶏

お客様(特にお子様)に大人気です。(写真右)

3位 岩石卵(写真左)

ちょっと甘めですが、卵焼きとは一味違います。(写真左)
*黒豆はいつもより大量に煮てしまい、一部を酢漬けにしてみたりしました。

新しい1年が始まって次々に年中行事がやって来ますが、気負わずにちょっと行事食を思い出して作ってみましょう。
楽しい!おいしい!おもしろい!食育のお話

酒井文子(さかいあやこ)

あるときは、野菜を作る人。
あるときは、料理を伝える人。
あるときは、食育を広める人。
何よりも、お米のごはんが大好き人間。
そんな酒井がお送りするコラム、酒井文子「楽しい!おいしい!おもしろい!食育のお話」「楽しい!おいしい!おもしろい!食育のお話」、お楽しみに。